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女性は月経周期の中で嗅覚が変わる

電子版『Natural Medicine』の取材に協力したものです。
取材者:株式会社草隆社 黒塚憲之様

働く女性のために、日曜日も診察を行っている婦人科クリニックが東京・足立区にある。矢追医院、診療日以外は獨協医大越谷病院の産婦人科で診療に当たっている矢追正幸院長のクリニックだ。
休日がほとんどゼロに近いという矢追院長を、メールのやり取りを重ねながらまとめたのが本稿だが、この作業はとても困難を極めた。ただ、どうしても矢追院 長にこの企画で登場していただきたかったのには理由がある。婦人科領域での診断をアロマテラピーと結びつける試行をされているからだ。

矢追院長が「私の精油日記」というノート型の商品を構想したのは平成10年のこと。当時の日本アロマテラピー協会(現アロマ環境協会) 学術調査研究委員主催セミナーで構想を発表し、商品登録して実用新案(第3058676号)を取得した。この商品のコンセプトは、「アロマテラピーにおけ る基礎体温の活用」である。

「私がアロマテラピーを取り入れるようになったきっかけは、女性に嗅覚の変化があることに興味を持ち始めたか らです。22種類の精油を使って、月経周期の各時期に香りに対する感じ方がどう変化するのか、更年期症状によるストレスがある人にホルモン補充療法をして みたらどんな嗅覚変化が起こるのか、などを検討しました」

すると、予想通り、月経周期の各時期に香りの好みが変化すること、またホルモン補充療法の前後で、精神安定作用の香りと、高揚・催淫作用の香りが相反したり、明確に香りの好みが分かれるなど、興味深い結果が得られたのである。

基礎体温とは、精神的・肉体的体温変動因子を可能な限り取り除いたうえで測定した体温のこと。具体的には、通常の睡眠を取り、覚醒した時に測定した体温 で、朝6~7時ごろ、口腔内で計測することが望ましい、とされている。女性の場合、きちんと排卵が起こっていれば、生理がきてから排卵までの間は低温期、 排卵してから次の生理が来るまでの間が高温期で、基礎体温曲線は二相性を示す。基礎体温曲線がきちんと二相性を示している場合、低温期の最後の日の前後 2~3日間に排卵が起こっていると考えられる。一番妊娠しやすいのは排卵のころ。排卵日を過ぎてしまえばほとんど妊娠の可能性はなくなる、つまり基礎体温 上で高温期に入ってしまえば、まず妊娠しない。基礎体温については、一般に以上のようなことが常識となっている。

矢追院長は、基礎体温 に基づく女性の生理リズムが香りの受け止め方に与える影響に着目したわけだが、「基礎体温の各時期の香りの効能を記録していくことによって、今後、自身が どんな場合にどの精油を使えばいいかの参考になります。また、こうしたデータを集計することによって、これからアロマテラピーを始めようとする人に、安心 して精油を使ってもらう参考になります。スクールの教材としても有効」と考えて商品化を志した。

スローライフを実現する手段としての精油

病院や医院がアロマテラピーを導入するきっかけは、これまで見てきたように様々である。ただ、導入後に医師が精油、あるいは精油を使った施術としっかり向 き合っている例はあまり多くない。どちらかというと、看護師やセラピストが医師に働きかけてアロマを導入し、かつ主導していることが多い。医師が自ら個々 の精油の効能にまで興味を持つことは稀だ。

この点、矢追院長は自ら精油とかかわりを持つ点で珍しいケースかもしれない。院長とアロマの出会いはこうだった。

「現 在、大学病院勤務をしている日は、外来診療、手術、入院患者様の病棟管理だけでなく、学会発表や論文作成などのために研究を行っています。また当クリニッ クは、働く女性のために土曜と日曜の診療があり、大学病院とはスタンスを変えて、リラクゼーションできるクリニックを目指しています。自分自身がリラク ゼーションするには何がよいのかと考えていた矢先、精油との出会いがありました。精油を使えば手軽で気分転換ができ、それも自分のペースで対応が可能で す。種類や濃度により、人の心の変化にも影響しますから、女性を診療する上では必須であると思い、安心安全なアロマテラピーを普及するために関わるように なりました。そして、1滴の精油の素晴らしさを知ってしまった自分にとって、精油はスローライフ、スローフードのライフスタイルに加え、欠かせないものと なっています」

アロマを期待する患者もアロマで傷ついた患者も来るクリニック。
そして、自らの意思でアロマを診療に加えることになった。

「当 院では、精油を治療に取り入れて診療していたために、精油の利用者からメールを含めて多くの相談と要望がありました。アロマテラピーを期待して当院で受診 する患者さんのケースでは、いくつかのタイプがあります。女性疾患や皮膚疾患のある方が、現代医学の治療だけでなく精油を使ってほしいと要望があるケー ス、精油の使用で接触性皮膚炎を生じて受診するケース、プロとして活躍している人のケースなどです」

精油の治療を希望する患者さんに対しては、楽しみながら使用してもらうために、精油の選択方法、安全に使用する方法、トラブルの対処法などを院長自らが話をする。特に、経験者の失敗談なども話すことがあるという。

矢追医院は皮膚科も診療科目になっているので、精油による皮膚トラブルの患者さんも来る。「皮膚炎を生じたら皮膚科を受診ください」と商品に記載があった ため来院する人や、アロマショップで勧められて受診する人である。 こうした患者さんに対しては、どの精油をどんなふうに使ったか聞き、使用した精油でパッチテストを行う。もちろん、接触性皮膚炎の治療も同時に行う。プロ からは、トラブルが生じた場合の対応や、一歩進んだ女性疾患や皮膚疾患のアロマによる対処を含めた相談が多い。そのため、かつては院内で勉強会なども行っ ていた。

こうして、精油そのものに自ら関わっている矢追院長にとって、「私の精油日記」開発はある意味で必然だったといえる。つまり、 接する患者さんたちがこの日記に自分のデータを書き込むことにより、それがカルテ代わりとなるのである。また、サロンやアロマショップがこの日記の存在を 理解してくれれば、顧客の相談材料になるし、顧客が安心してトリートメントを受けられるようにもなる。さらに、皮膚科医の理解も得られれば、患者さんの接 触性皮膚炎の原因を特定することにもつながるはずである。

「何人かの皮膚科の先生は、『精油を使用してトラブルが生じたら皮膚科へ行きな さいとは勝手なものだ』といいます。でも、安心して精油を使用できるネットワークさえあれば、たいした問題ではありません。そのネットワークをつくればい い、というのも『私の精油日記』を考案した動機です」

アロマクリニックのネットワーク作りに役立つ日記。
では『私の精油日記』はどんな利用のされかたをしているか。

「使 用できるのは、月経周期のある方です。健康な人だけでなく、いろんな病気を患っている人も使えます。利用方法ですが、精油を選択する際に、月経周期の時期 を月経期、排卵期、月経前期の3つに分け、それぞれの時期になったら、たとえばアロマショップなどへ行き、精油のサンプルの中から好みの香りを最低3つ選 んで記録してもらいます。ポイントは、【1】パートナーと共通の香りを選ぶようにすること、【2】3つの時期共通に好む香りも入れること。これは、月経周 期の各時期で使用する精油が、効能からでなく好む香りの中から効能を考えて使用することにつながります。もちろん日記も書けますので、精油の使用により、 その時の精神状態までわかります。これにより、使用する精油をより効果的に選択することが可能となります」

アロマを取り入れている医療 機関(婦人科、心療内科、皮膚科など)の医師たちとも、この日記を通してコミュニケーションが図れるかもしれない。特に、患者さんの日記を読むことによ り、使用する精油を変更するかどうかの判断材料になるし、メンタルケアが必要な人にも有効である。

『私の精油日記』の意外な効用

では実際、矢追医院では『私の精油日記』がどのように活用されているのだろうか。

「過 去の日記も持参してもらうことで、前回の月経周期と比べ、評価することもあります。また、私の診療経験から似た患者さんがどのような精油を使用し、どう なったなどをお話しします。それを参考にしてもらい、各個人のライフスタイルに合わせて精油を選んでもらっています。もちろん、精油だけで効果が出るもの ではありません。基礎体温表をつけることで無排卵状態や黄体機能不全状態を予測し、採血によりストレスや女性ホルモン値を評価しながら診療にあたっていま す」
日記の使用者から、次のような反響があった。

月経の各時期に、パートナー同士共通する好みの香りを付けてから会うようにしたら、より楽しく会えるようになった。

香りの好みは各人別々。やはり効能優先でなく、好みの香りの中から効能を選択できるという考え方は、精油を楽しむ範囲を広めてくれた。アロマの講師がこの考えをスクールの生徒さんにお話ししたら共感された。この日記をつけたことによって、基礎体温表から自分が排卵していないことがわかり、治療に専念できた。リラックスすることによって、排卵すると教えてくれた。月経痛や月経不順などの婦人科疾患を持つ人が、無理なくスキンケアできるようになった。自分に合う精油が見つけられて安心。

旅先のアロマサロンでこの日記を見せたところ、自宅で行っている同じブレンド内容でトリートメントしてもらえた。アロマの愛好者のお友達が増えた。人と会話することが楽しくなった。

女性限定ではあるが、『私の精油日記』は欧米にもない珍しい試みである。医師の介入はメディカルアロマテラピーの発展にとって欠かせない。こうした試みが ネットワーク化されることによって、山積するアロマテラピーの問題が解決していくのならば、こんなに喜ばしいことはない。
この『私の精油日記』に注文があるとすれば、精油を使用する人がどのブランドのものを使用したかも明記できるようにすることではないだろうか。ブランド間の精油の品質は現在、深刻なほど大きな問題である。使った精油が例えば「ラベンダー」であっても、その精油の素性が明らかでないと、適切なアドバイス、適切な診療に齟齬をきたす ことになりかねないからである。

本稿では矢追正幸医師の開発した『私の精油日記』の説明に終始した。

■矢追医院
〒123-0872 東京都足立区江北2-33-6
TEL:03-3890-3387

http://www.yaoi.org/



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